ユーザー事例

住友理工株式会社 様(旧:東海ゴム工業株式会社)

入社1年未満の社員加え申告業務の標準化めざす

東海ゴム工業は世界有数の自動車用ゴム製品メーカー。最近は理化学研究所と共同でロボット開発にも取り組んでいる。その一方では法人電子申告システム『ASP1000R』を導入するなど、申告業務の改革にも熱心だ。同社経理部財務課の担当課長・森田秀雄氏と同財務課の小網泰輔氏、谷口レイモンド氏、上水流夕貴氏、広報室長の水野邦彦氏に聞いた。

東海ゴム工業株式会社

自動車用防振ゴムで世界トップシェアを誇る

――東海ゴム工業さんはこの12月で創業80周年を迎えます。当初はコンベアベルトのメーカーとしてスタートし、現在は世界有数の自動車用製品メーカーとして揺るぎない地位を築いています。まず事業の概要からお聞かせください。

水野 私どもの事業領域は、自動車からIT関連、産業資材、住宅建築まで幅広い分野にわたっていますが、連結売上高の8割を占めるのが自動車用製品です。当社は住友グループに属しており、カーメーカーの系列企業ではありません。したがって他社より常に高品質で安価な製品を提供しないとなかなか取引先のカーメーカーに採用してもらえません。ある意味、こうした危機感が高い技術力やシェア獲得につながっているのだと思います。

――自動車用ではどんな製品をつくっているのでしょう。

水野 大きく3つに分類できます。1つは快適な乗り心地と操縦安定性を実現する「防振ゴム」。2つめはガソリンやオイルなどを搬送する「ホース」、3つめがエンジンカバーやヘッドレストなどの「制遮音、内装品」です。なかでもエンジンや路面からの振動を吸収する自動車用防振ゴムでは世界トップシェアを獲得しています。

――自動車以外では?

水野 そうですね。まずIT関連では複写機やプリンターの心臓部の帯電ロール。これは当社が世界で初めて製品化に成功しました。さらには重機や土木・プラントなどで使われる各種産業用ホース。住宅・建築分野では今年から木造住宅用制震ダンパーの販売も開始しています。

――自動車関連の経営環境は厳しいものがありますが、今後の事業の課題・方向性というと?

水野 一層の環境対応が必要な自動車業界にとって、車の燃費性能の向上は大きな課題の1つです。私どももそれを受けて、製品の軽量化にいま取り組んでいるところです。小型車が主流になる自動車業界で生き残るにはこれをどうしてもクリアしなければならないし、厳しくなる環境規制への対応も大きなテーマです。

――なるほど。その一方では理化学研究所と共同でロボット開発にも取り組んでいますね。

水野 ええ。少子高齢化が進むなかで介護者不足が社会問題になりつつありますが、今回開発したのが介護支援ロボット『RIBA』です。RIBAは人間タイプの両腕で人をベッドや車椅子から抱き上げて移動することができる、世界初の介護負担を軽減するロボットです。

――御社はこのロボット開発で何を担当したのですか。

水野 表面素材の開発や軽量化につながる成型技術です。直接人に接触するロボットなので人肌に近い温かさ柔軟さを持ち、汚れに強い清潔感のある素材を開発し提供しています。

――顔はシロクマをモチーフにしていますね(笑)。

水野 人間に似せるとマネキンと同じでちょっと恐いし、ロボットのイメージだと優しさが感じられません。結局、最終的に落ち着いたのがぬいぐるみ系の動物だったようです。

――製品化はいつ頃ですか。

水野 人間と接するロボットなので、なにより安全性が最優先です。数年以内には介護施設でのモニター使用を経て課題を整理し、早期の製品化を目指します。

名古屋国税局から局長感謝状を贈呈される

――さて、東海ゴム工業さんは本業のものづくりのみならず、申告業務の改革にも非常に熱心です。今年6月には名古屋国税局から、国税電子申告・納税システム(e-Tax)の普及拡大に貢献したとして局長感謝状が贈呈されたとお聞きしています。

森田 ええ。当社が電子申告を開始したのは2007年4月の消費税からですが、その後、従業員や関係会社、取引先などに積極的に電子申告の利用をお勧めしたのが認められたようです。いずれにしても感謝状は想像もしてなかったことなので、すごく嬉しかったですね。

小網 電子申告をスタートしてほぼ1年後の08年3月の決算分からは、TKCの『ASP1000R』で申告するようになりました。それまでのe-Taxソフトに比べ送信時のエラーが少なく、しかもワンクリックで電子申告データを作成するなど、その処理スピードに驚かされました。

森田 それに、たとえエラーが起きてもそれを明確に特定できるのがいいですよ。

――有り難うございます。『ASP1000R』の導入前には業務面でいろいろ課題を抱えていたようですが…。

森田 まず外国税額控除の正確な算定、これに頭を抱えていました。当社は世界各国に拠点があるので、この外国税額控除にきちんと対応できることが不可欠です。ところが従来利用していた市販のパッケージソフトはその機能が脆弱だったので、ずいぶん苦労させられました。

小網 決算の早期化にともない税効果会計へのスピーディな対応も大きな課題になっていました。ところが当時は独自につくったスプレッドシートでほとんど手作業に近い形で処理していたので、とにかく時間がかかっていた。なにしろスプレッドシートに8段階の計算式をつくっていたくらいですから。それに毎年のメンテナンスでは税制改正などに正しく対応できているかという不安も常に抱えていました。

森田 税効果会計はゴールが決まっているので限られた時間のなかで作業を進めざるを得ないわけですが、スプレッドシートでそれをやるにはどうしても限界がありますね。

短納期対応の体制を分散入力の機能使い実現

――『ASP1000R』を知ったきっかけは?

小網 インターネット検索でヒットしたので、それを機にいろいろ検討をはじめました。営業担当の方に来社いただいてデモをしてもらったり、実際に操作もしてみました。

――そのときの印象はどうでしたか。

小網 セキュリティーのしっかりしたシステムだなというのが第一印象でした。従来使っていたシステムは入力をミスしてもそのままパスさせてしまうようなところがありましたが、『ASP1000R』は間違った数値を入れるとワーニングメッセージが出るので確実に入力ミスやケアレスミスが防止できます。

森田 当然、システムの選定にあたっては、数社のシステムの機能を分析して比較しました。外国税額控除や税効果会計、あるいは電子申告による送信時のエラーチェックやセキュリティー面はどうなのかといったことですね。それぞれに○×△をつけていきました。そして機能的に最も優秀だったのが『ASP1000R』であったわけです。
 法令に準拠するシステムであるかどうかも重要な課題でしたが、その点このシステムは税の専門家であるTKC全国会の会員税理士の助言を受けて開発されたと聞いています。専門家が評価するソフトですから当然、税法改正などにも確実に対応できると判断しました。

小網 私が素晴らしいと思ったのは税効果会計で、特に「一時差異のスケジューリング」や「将来課税所得の見積額」を入力するだけで繰り延べ税金資産の回収可能性を的確に判断する機能です。この数字に誤りがあると財務諸表の信頼性を損なうことにもなりかねませんからね。

――『ASP1000R』で作業日数が短縮されたということは?

小網 ほぼ半分になりました。従来は税効果会計をやったあとで申告書をつくっていましたが、その二重手間がなくなった。これが一番大きい。それに以前は申告業務だけで手一杯だったのに、最近は分析するということもできるようになりました。

――申告業務は何人で?

森田 今は小網くんと谷口くんの2人が担当し、事務職の上水流さんにも手伝ってもらっています。谷口くんは実務自体まだ1年ほどですが、今回は税効果会計、それに地方税も担当しています。

谷口 お陰さまで四半期ごとに担当するうちに、徐々にシステムの仕組みがわかってきました。特に地方税については法人税の計算結果と連動しているので、ほとんど入力する必要がありません。小網さんが担当していた頃はスプレッドシートを使っていたので、関係する自治体の税率を一つひとつ確認して修正する必要があったそうですが、『ASP1000R』には全都道府県・全市町村の税率マスターが搭載されていますからね。その意味では、ずいぶん楽をさせていただいています。

上水流 私の場合、今年3月の入社ということもあって、入力を担当しているのはまだ一部の別表だけです。システムにもっと馴染んで、少しでも早く期待に応えられるようになりたいですね。

森田 『ASP1000R』は法人税別表などの関連を意識せずに必要最小限のデータを入力するだけで申告書が作成できます。つまり入社1年に満たない税務の基本的知識がないスタッフでもできてしまうわけですね。だからこそ業務の標準化がはかれるわけですが、やはりその分、スタッフの教育は疎かにできません。

――今後の目標をお聞かせください。

森田 とにかく短納期が求められる業務なので、そのための有効な体制を『ASP1000R』の分散入力の機能を使って築いていく必要があります。それにはいまお話したように、スタッフに対する税務申告の基本的教育が欠かせません。実はその準備をすでに進めています。

会社概要
名称 住友理工株式会社(旧:東海ゴム工業株式会社)
業種 工業用ゴム製品製造業
代表者 西村義明
所在地 愛知県小牧市東3-1
売上高 2744億円(連結)
社員数 1万2533名(連結)
URL http://www.tokai.co.jp/

『戦略経営者』2009年12月号より転載

掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、2009年12月現在のものです。
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