ユーザー事例

株式会社堀場製作所 様

ミスを絶つ「安心」機能で申告業務をイノベーション

堀場製作所は「環境」「健康」「安全」「エネルギー」など、人々の暮らしに欠かせない分野で分析・計測機器を提供するグローバル企業。環境規制などを追い風にビジネスチャンスを広げている。一方で法人電子申告システム『ASP1000R』を第1号ユーザーとして3年前に導入、申告業務の革新にも乗り出した。同社財務本部の多鹿淳一経理部部長と同経理部経理チームの仙石将臣氏に聞いた。

株式会社堀場製作所

国や法人の壁を取り払いOne Company経営を実現する

――HORIBA(堀場製作所とグループ会社)さんは世界トップの分析機器メーカーとして知られていますが、具体的にはどのような装置をつくっているのでしょうか。

多鹿 当社には4つの事業部門があります。その1つが自動車計測システム機器部門で、自動車エンジンの排気ガスを測る装置をつくっています。世界で最も厳しい日本の自動車産業の要求に応えてきた結果、各国の自動車メーカーから高い信頼をいただき世界シェア80%を獲得しています。
 2つ目の分析システム機器部門では理化学分野の計測計のほかに環境分析装置、例えばゴミ焼却場などの煙突から出るガスを測る煙道排ガス分析装置などをつくっています。第3の医用システム機器部門では主に血液検査機器を展開し、第4の半導体システム機器部門は、半導体製造工程で使われるガス・液体の流量制御装置と各種モニタリング装置を中心に展開しています。

――環境問題が地球規模のテーマになっていますが、御社にとってはやはり追い風ですか?

多鹿 排ガス規制のレベルはますます厳しくなっています。一層の低濃度化や規制対象の広がりなどで、自動車メーカーが求める計測装置の質は高度化していきます。また二酸化炭素の削減がさらに強化される方向にもあります。当社にとってはビジネスチャンスが広がるのは間違いありません。

――今後は電気自動車の開発が進みます。そうなると排ガス計測自体が不要になるのでは?

多鹿 ハイブリッド車が普及し、先進国の一部では確かに電気自動車の利用も進むでしょう。しかし、そんななかで当社は2005年にドイツのカール・シェンク社の自動車関連計測事業部門を買収しました。エンジンの燃焼関係だけでなく、例えばパワーをエンジンに伝える動力系の計測、あるいは車の空気抵抗の計測など、自動車開発に必要な総合計測装置を提供するトータルソリューションメーカーとして事業分野を拡大しつつあります。電気自動車の普及は逆風ではなく、成長のためのビッグチャンスととらえています。

――堀場社長は〈One Company経営の実現〉を唱えておられます。意味を教えてください。

多鹿 当社は90年代後半からの戦略的M&Aによって事業を拡大してきました。当初は各企業の持つ文化を尊重しそれを大切にしてきましたが、買収から10年たってより効率的な事業運営を目指すことを狙い〈One Company〉の軸を打ち出した。つまり各社の文化と当社の文化を融合させつつ国や法人といった壁を取り払い、事業分野ごとに意思決定のできる経営システムに再編することを目指しているわけです。

――御社の強みはどんな点に?

多鹿 当社の場合、とくに文化的な面で海外と日本を区別して考えないところがあります。そこが他社と一番違うところです。一口に海外といっても、中国とフランスとアメリカではぜんぜん違う。それぞれの国ごとにお客さまの特性があり、マーケットのニーズがあるわけです。そうした一つひとつのマーケットを見ていく文化が当社にはあります。それがやはり強みになっていますね。
 もう一つは、社是の「おもしろおかしく」です。そこには健全で実り多い人生にしてほしいという前向きの願いが込められています。会社が「おもしろおかしく」働ける舞台を提供し、社員がそこで「おもしろおかしく」仕事をすれば、発想力や創造力が増し、効率も上がって企業価値も高まるという考え方です。
 とくに当社のようにニッチマーケットで勝負していくには、開発にしても営業にしても社員がどれだけ深く仕事に打ち込み、喜びを見出していくかが大きな意味を持ってきます。そう考えると、社是のフィロソフィーは間違いなく当社の強みです。

外国税額控除の正確な算定がシステム導入の決定要因

――堀場製作所さんは分析装置のグローバルメーカーとして地球規模で活躍する一方、税務申告においても革新的で、第1号ユーザーとして2007年3月に『ASP1000R』を導入しました。3年間わたってご利用になられたご感想をお聞かせください。

仙石 とにかく、安心して使えるソフトです。例えばエキスパートチェック機能。入力時や計算時に数値や税法上の要件チェック、関連するデータとの相互チェックが自動的に行われ、間違ったデータを入れるとワーニングメッセージが出ます。しかも別表間の転記が自動化されているので、転記ミスも防止できます。
 それに、『ASP1000R』は税の専門家であるTKC全国会会員の税理士の助言のもとに開発されたと聞いています。当然、毎年の税制改正が確実に反映されるし、かなりの頻度でバージョンアップした新しいソフトが提供されます。税務申告の担当者としては、これもまた安心できる大きな要因です。

――3年前に『ASP1000R』を導入するに至った経緯を教えてください。

多鹿 一番の決定要因は外国税額控除の正確な算定にありました。当時使っていたソフトは外国税額控除の別表が揃っておらず、別表間で連動もしていなかったため、地方割に対応できなかった。結局、全国14ヵ所の各拠点が所在する都道府県、市町村に提出する別表を作成するために、スプレッドシートにすべて手入力せざるを得なかったわけです。当然、手間も時間もかかり、ミスの原因にもなっていました。
 ところが『ASP1000R』はこれにきちんと対応できました。導入のきっかけはその機能です。当時、当社が『ASP1000R』の第1号ユーザーになると聞いて、社内からは“ほんとに大丈夫なのか”という声も聞こえてきましたが(笑)、私自身はいろいろ説明を聞き、実際に操作もしてみて、ベストの選択と考えました。

――ちなみに海外子会社は何社あるのでしょう。

多鹿 37社です。当時、その外国税額控除の地方割でスプレッドシートに手入力していたことを思うと、今もぞっとします(笑)。何か違うなと思ってチェックを入れても、原因がなかなかつかめないし、毎回苦労させられました。

――何か不具合が出たということはありましたか?

仙石 実際、最初ということで、いろいろ不具合が出ることを覚悟していましたが、申告の数字に関してはまったく問題がなく、安心して利用することができました。ただ外国税額控除の別表入力について、最初のバージョンでは日本円への換算レートを入力しなければならなかったので、「円換算後の金額を直接入力した方が使いやすいのでは」と提案させていただきました。すると次のバージョンでユーザーの声が反映された。これには驚きましたね。
 同様に、間接税額控除のところで孫会社が1社のケースにしか対応していなかったので、「複数の孫会社がある場合にも対応してほしい」と提案したところ、やはりすぐにレベルアップしてくれました。他社のシステムでは、ほとんどあり得ないことです。

地方税の申告で作業時間を大幅にカット

――現在、使い勝手が良いと感じている機能は?

仙石 一番はやはり地方税の関係です。先ほど申し上げたように当社には全国14ヵ所に拠点がありますが、地方税の申告で大幅に作業時間が削減できました。法人税の計算結果が地方税の計算に完全連動しているので、初めに地方税の基本情報、営業所の従業員数などを設定しておけば、ほとんど入力する必要がないからです。以前は決算前に関係するすべての自治体の税率などをチェックする必要がありましたが、『ASP1000R』には全都道府県・全市町村の税率マスターが搭載されています。つまり法人税の申告書さえ作成すれば、手間をかけずに地方税の申告書がつくれるわけです。これはほんとうに重宝しています。

――ちなみに地方税の税率マスターは、今年2月の新規レベルアップで、当社のサーバーから最新情報を自動的にダウンロードする機能がついたので、さらに使い勝手が良くなっています。

多鹿 今は仙石が税務申告を担当していますが、前任の私は『ASP1000R』が税効果会計にも間接税額控除にも対応していることにずいぶん重宝しました。以前はやはりスプレッドシートで計算していましたが、両方とも税額計算の仕組みが複雑で、的確に再現することが難しかった。やむなくアバウトな計算を余儀なくされていたわけですが、担当の会計士さんが精度にもこだわり始めた頃だったので、これはソフトを替えないといけないな思ったことを覚えています。

仙石 確かに税効果会計は限られた時間のなかで作業を進めなければならないので、そのスピーディな計算機能にずいぶん助けられていますね。
 ただ税効果を計算する際、期首残高は、前期末の決算数値を用いるのが基本だと思うのですが、『ASP1000R』は申告の数字を繰り越してしまうので、手入力で補わないといけない。このあたりの対応を例えば御社の『eConsoliTax』(連結納税システム)のように決算の数字と申告の数字の両方持たせるようにするなど、改良を考えていただけたら有り難いですね。

――わかりました。ところで連結納税の採用を検討中とお聞きしていますが、採用にあたってのポイントはどのあたりにあるのでしょう。

多鹿 当社の税額のメリットでいえば、一つには連結納税をすることで従来以上に研究開発費の控除枠が使え、かなりの税額のセーブができると考えています。もう一つは赤字が出たときのセーフティネットですね。この二つが大きなメリットです。連結納税システムについても検討している最中ですが、『eConsoliTax』も有力な候補の一つであることは間違いありません。

会社概要
名称 株式会社堀場製作所
業種 分析機器製造
代表者 堀場厚
所在地 京都府京都市南区吉祥院宮ノ東町2
TEL 075-313-8121
売上高 1045億3800万円(連結)
社員数 5133名(連結)
URL http://www.horiba.co.jp/

『戦略経営者』2010年6月号より転載

掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、2010年6月現在のものです。
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